宗教について 〜 人の生と死を考える 注74

公開: 2023年3月28日

更新: 2023年4月16日

注74. 民主的とは

ここでは、「民主的」という言葉の意味を、イギリスの思想家、ジョン・ロックが述べた「民主主義」の定義に従って使います。ロックは、封建時代の王制が、国民の信教の自由、私有財産の所有、個人の命の尊重を認めず、これらの全てを王の自由意思によって処理できる問題と考えてい点を問題と考え、それらは、本来、個人の自由意思によって、個人個人が決定権を持つべきであると主張しました。それは、国王が国民の宗教を決める権限(国王が国民の宗教を決める権利)を失い、国民の私有財産を勝手に処分する権限(国民への課税を決める権利)を失い、国民の命を勝手に奪う権利(徴兵を行う権限)を失うことを意味していました。

現代の世界では、ほとんどの国がこれらの 個人の権利を「基本的人権」として、国家が個人から奪うことのできない権利としています。しかし、現実を見ると、個人の権利がどこまで尊重されているかは、各国の政治がどこまで成熟しているか、社会の水準がどこまで進歩しているかによって、変わります。憲法に書かれている文の表現は同じでも、具体的な意味は違っているのです。例えば、北朝鮮では、個人の私有財産はほとんど認められておらず、国民の命は国家や金主席個人の考え次第で、どうなるかが決まり、宗教を選択する自由はなく、金主席の地位を尊重し、守ることが絶対的に正しいとされています。これは、民主的とは言えません。、

北朝鮮の例は、極端ですが、ロシアや中国の政治も、民主的ではなく、「専制的である」としか表現できません。国民が自由意思で選択し、決められることが、限定されており、国家権力の統制下にあると言えます。

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